研究課題/領域番号 |
19510276
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
浅井 美智子 大阪府立大学, 人間社会学部, 准教授 (10212466)
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研究分担者 |
田間 泰子 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (00222125)
萩原 弘子 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (90159088)
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キーワード | 生命倫理 / 生殖補助医療 / 家族社会学 / 親子 |
研究概要 |
本研究は、生殖補助医療とされる(体外受精・人工授精など)に対する女性の意識変化を家族観・親子観の変容とともに明らかにすることを目的として行われた。 本年度は研究助成最終年でもあったが、300名回答の意識調査を実施することができた。調査結果の詳細は報告書に記載するが、過去の同様の意識調査との比較から、以下の点が明らかになったことが最も大きな成果である。(1)提供精子・提供卵子・提供受精卵を積極的に容認する意識は変化が見られない。すなわち、これらには不自然さを感じているということである。(2)体外受精によって子どもをつくることに対しては、夫婦間における不妊治療としては容認される意識が増えていることがわかった。(3)代理懐胎についての容認度は低い。以上の結果と家族観・親子観についての結果から、夫婦間の血緑の子どもをもつこと、すなわち性交の代替としての体外受精は不妊治療として受け入れられてきたということができる。逆に、AID児は現在まで長く実施されてきたが、容認度は高くない。AID児は実子と登録されるが、精子提供によって生まれたことが明らかになるとすれば、容認度は低くなるのではないかと予測された。 次に、代理懐胎の容認度は極めて低い。だが、文献研究、各国の新生殖技術実施動向をみれば、代理懐胎は増加している。日本人夫婦がアメリカなど代理懐胎を容認する他国で子どもを得ている実数はつかめていないが、かなりの数がいるものと推察された。欧米諸国の子ども事情は、不妊治療によって子どもを得られなかった人々は、最後に養子を迎える準備があるのに対し、日本では養育を目的とした養子を迎えることには極めて消極的であることが明らかとなった。 これらの結果を踏まえ、生殖の意味の変容を明らかにし、今後、体外受精が開示した子どもの市場化の問題を見据えながら、新生殖技術の倫理性について検討していきたいと考えている。
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