研究概要 |
本年度は最終年度であり、3年間の集大成として計画していた日独国際会議を開催した。 I.タイトル:シンポジウム「認知症ケアを支えるしくみ~家族、介護関係者、地域~」 日時:2009年9月6日10:00-17:00,場所:国際基督教大学 (1)午前の部は、下記の三名の研究者による講演。 春日キスヨ「家族による高齢者虐待~ジェンダーと階層の視点から」 モニカ・ゴールドマン「認知症ケアの地域ネットワーク~ドイツから」 佐野英司「住みなれた地域に住み続けられる条件をつくるために」 (2)午後の部は、多摩たんぽぽスタッフによる寸劇、三つの分科会、そしてまとめ。 寸劇「不穏という言葉で片付けないで!」 分科会1:「ケアワーカーを支えるには」 分科会2:「家族による高齢者虐待」 分科会3:「認知症ケアを支える地域ネットワーク」 まとめ:「今後に向けて」を考える II.地域ケアネットワークの重要性。 今回のシンポジウムは、その対象者を研究者ではなく、地域で介護ケアにかかわっている人たちを中心に位置づけた。認知症ケアを支えるには、介護職関係者、介護サービス利用者と家族、そして行政をつないでいく、地域ネットワークが重要となる。良質なケアを提供するには、介護職の労働環境の改善が切実な問題となるが、その要請は介護職だけでなく、地域で市民を巻き込んで声を上げていく必要があり、そのためにもネットワークが重要となる。シンポジウムの成果はまとめて冊子とし、今後のネットワーキングに参考となるよう、当日の参加者に配布した。 III.日本とドイツの比較 95年に介護保険制度を導入したドイツでは、介護とは身体介護のことだったが、2008年から社会的ケアを介護に含め、認知症へ対応できるよう法的整備を整えた。今回は、ドイツでも地域介護の成功例といわれるビーレフェルトの事例を通し、地域ネットワーク構想を日本と比較しながら検討した。
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