近代沖縄の女性労働について、八重山諸島を中心に、1930年代から1940年代における実態を明らかにする目的に基づいて、調査・分析を行った。特に (1) 沖縄近現代史における農村・経済研究、女性史研究、八重山研究について、特に近代八重山諸島における歴史的経緯、農村共同体の変化、女性労働、労働力移動に焦点を当てて、研究史を整理した。 (2) これまでに刊行されてきた資料集(『沖縄県史』『石垣市史』など)、図書館・公文書館・博物館などの収集されている資料、新聞、雑誌、個人資料などから、八重山諸島の女性史・女性労働に関する者を収集し、整理を進めた。 (3) 沖縄本島・八重山諸島へ調査を実施し、文献資料収集と現場研究者および同時代体験者への聞き取り調査を行った。結果、1900年から1980年頃までの女性史・女性労働について、八重山諸島の内、石垣島・竹富島・与那国島での聞き取りが可能となった。 (4) 上記を経て収集・整理された資料を検討し、八重山諸島での1920年代から始まり30年代に顕著であった台湾への女性労働移動に焦点を当て、先行研究・研究史の整理、新しく収集文献資料および聞き取理調査で得られた資料を用いテ考察を行い、論文を執筆した。特にこの地域共同体の変容、女性に対する社会的別紙・差別・女子教育に対する認識に変化、1930年代以降の日本全体の産業化・地方改良運動に働き、またそこにおける女性への期待、植民地台湾の「近代化」に伴う労働移動などの要因との関係を分析・考察した。 (5) 上記の過程に置いて、沖縄・八重山の研究機関、研究者と研究交流を行うことができた。
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