沖縄の近代における女性労働について、特に八重山諸島を中心に、1930年代から1940年代における実態に迫るため、当時の新聞・雑誌、個人回想録などを中心に資料を収集し、整理した。前近代の人頭税など制度的に周辺化された八重山の地域性、沖縄本島・植民地台湾との間の移動、1903年に終了した土地整理事業後の農業行政の技術的・組織的変化、この地域の中心的産業であった糖業・漁業とそれに従事する女性たちの生活経験、学校教育や青年団活動など女性を取り巻く制度や近代化、1930年代以降顕著となる日本全体の産業化・地方改良の動きによる影響、沖縄における共同性や境界を越えたネットワークなど、影響を与えた要因の多様性を、分析・考察した。
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