研究課題/領域番号 |
19510281
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
風間 孝 中京大学, 教養部, 准教授 (50387627)
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研究分担者 |
清水 晶子 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (40361589)
マリイ クレア 津田塾大学, 学芸部, 准教授 (40339213)
河口 和也 広島修道大学, 人文学部, 教授 (10351983)
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キーワード | クィア / セクシュアリティ / ジェンダー |
研究概要 |
本研究の目的は、英米起源のクィア・スタディーズに、「日本」というファクターを導入することにより、日本におけるクィア・スタディーズの可能性を探究することである。本年度は、2007年9月に第1回公開シンポジウムを開催し、クィア・スタディーズ(QS)および周辺領域の総括に取り組んだ。確認したことは、以下の2点である。現在の日本におけるクィア・スタディーズは、(1)レズビアン・ゲイ・スタディーズ(LGS)とフェミニズムという二つの学問領域の成果の上にうまれてきたこと、(2)コミュニティ(ジェンダーの表し方、身体のあり方や用い方、欲望の形や関係性のあり方など、多様な可能性を追求するための実践とそれにかかわる人々の総体)と切り離せないものであったこと。 まず、LGSとQSは理念的に矛盾する要素を含みつつ、緊張をはらみながら相互に刺激しあい発展してきた。その双方に触発され、双方に新たな視点を提示するものとしてトランスジェンダーやバイセクシュアルにかかわる研究や言説も急速な広がりを見せている。QSはジェンダーやセクシュアリティについての多様なアプローチにもとづく研究の蓄積の上に成立している。つぎに、フェミニズムとQSの関係では、主流フェミニズムが性差別構造への対抗手段として用いた「女」というカテゴリーが異性愛規範を前提とすることも少なくなかったが、フェミニズムはジェンダーとセクシュアリティにかかわる研究を切り開く大きな役割を果たしてきた。両者の間には緊張関係を見出すことができるが、フェミニズムが切り開いた成果の上にQSは成立している。最後に、QS、フェミニズム、LGSは、ジェンダーやセクシュアリティに関係する切実な要請に動機づけられ、またセクシュアル・マイノリティと直接にかかわりのある社会・文化的実践を対象とすることも多かったことから、その成果はコミュニティに影響を及ぼしており、コミュニティと切り離せないものといえよう。
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