研究課題
昨年度構築した陸域生物圏モデルの客観的向上のための手法を適用して、(1)北アメリカ、(2)日本を含むアジア域、のモデルランと他モデルとの比較を行った。まず、グローバルスケールで地上フラックス観測データと衛星データを収集して、衛星データを用いた陸域水循環・炭素循環パラメータのスケールアップ手法として、サポートベクターマシンによる回帰手法を適用した。その結果、グローバルなFlux Net観測データを利用することで、グローバルな光合成・蒸発散量の推定が可能になった。構築されたデータをアジア域や北アメリカ域などの大陸スケールのモデル向上に利用した結果、陸域モデルが改善した。特に、蒸発散の推定に関しては、Rooting Depthの空間推定によって、飛躍的に季節変動が向上し、同様に、経年変動に関しても、衛星観測とモデルが一貫した結果を示した。また、日本において、複数の陸域生態系モデルを用いて、結果の比較を行った。モデルの改善作業を通すことで、複数のモデル間の結果の違いが小さくなり、モデル検証プロセスやフラックス観測の重要性を示すことができた。また、陸域モデルの改善が統合モデルに果たす影響について評価を行い、陸域モデルを改善することで、過去〜現在のCO2濃度再現性が高くなり、約100年後のCO2濃度で約50ppmvの違いが出た。これらの結果は、地球温暖化などの環境変動予測モデルにおいて、最も不確定性の高いと考えられる「陸域モデル」の改善に寄与するものであり、地球環境変動将来予測をより良くするための一歩となる。
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Journal of Geophysical Research 113
ページ: doi:10.1029/2007 JG000627
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