陸域炭素循環モデルの改善方法の構築と、それによる地球システム統合モデルへの影響(温暖化予測の変化)の2点を行った。 陸域炭素循環モデルの改善方法の構築に関しては、複数モデルの比較と呼吸量の空間的見積もり手法の構築の2点を行った。複数の陸炭素循環モデルを比較した結果、デフォルトの状態では、観測との誤差が大きいが、基本的なフフックス量(光合成・呼吸)を用いてモデルパラメータチューニングを行うことで、大幅に観測に近づけることができた。これらの空間マップを構築することが必要であると分かった。しかし、呼吸量に関しては、衛星などではバイオマス量や土壌炭素量について観測するのが困難であるため、見積もりが困難である。これを解決するために、大気CO2インバージョン解析と衛星ベースの陸域光合成量との組み合わせを行うことで、呼吸量の算出を試みた。その結果、時間的・空間的に妥当な呼吸量を算出することができた。ただし、今後、GOSAT衛星の利用や、実際の地上観測との比較検証を行う必要がある。 また、「地球システム統合モデル(UVic-ESCM)」を利用・改善して、陸域モデルの改善が統合モデルに果たす影響について評価を行った。約50サイトのFLUXNETデータを利用して陸域モデルを評価・改善を行った。まず、各サイト地点でオフラインシミュレーションを行いモデル改善を確かめた。それを統合モデルに組み込んだところ、過去~現在のCO2濃度再現性が高くなり、約100年後のCO2濃度で約50ppmvの違いが出た。従って、「陸域モデル」の改善は、地球システム統合モデルをより良くするための重要な一歩と結論づけられた。
|