| 研究概要 |
2009年度に本プロジェクトの研究成果を含む単著を発表した。今年度はその成果についての海外学会発表と単著に組み込めなかった緬甸華僑図書館の資料の整理を行った。緬甸華僑図書館資料はミャンマーの華僑・華人社会の歴史を明らかにするために有用な資料であるが,これまで当該資料を利用して書かれた研究はない。2010年度で本研究プロジェクトは終了するが,この資料の発掘は成果のひとつであり,これを広くミャンマー研究,華僑・華人研究者に利用可能なものとする準備を本年度の課題とした。
7月にフランス・マルセイユで開催された"2010 International Burma Studies Conference"にて学会報告を行った。問題意識,分析手法の点で,各国の研究者から多くのコメントを受けることができた。また,似た問題意識をもつロンドン大学の博士課程の研究者2人と知り合うことができ,今後の研究のために情報交換を行った。情報交換のなかで,中国語,ビルマ語の現地資料の不足が実証研究の進展を妨げており,本研究プロジェクトで収集した資料に対する需要の高さがわかった。そこで,帰国後,収集資料の電子ファイル化とリストの再修正を中国人留学生を補助員として行った。資料のリストおよび著作権上の問題が生じない資料については将来的な公開を考えている。資料のうち,ビルマ華人社会の歴史を概観できるように,陳孝奇氏(1900年～1989年)作成の年表とミャンマー史の年表を並べた資料を作成し,合わせて公開する予定である。そのための入力作業も行った。近くアジア経済研究所のウェブサイトで公開を行う予定である。
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