本研究は、日本の倫理思想史における情念の問題を、神話・物語、仏教、儒教、国学、近代思想等、さまざまな角度から総合的に捉え返し、情念の把握の歴史的変遷およびその現代的意義について考察することを目的とする。その際、『源氏物語』を一つの機軸に据え、上記の各領域における『源氏物語』論ないし『源氏物語』との影響関係を研究対象として取り上げることで、各領域の研究を並列するにとどまらず、有機的な連関をもった研究となることを目指している。 また同時に、研究がそのように文芸作品をも含めた多くの思想潮流にまたがらざるを得ない日本思想研究の方法論についても、従来の研究を総括しつつ、考察を試みる計画である。 研究は、仏教・儒教・国学等の領域をそれぞれ専門とする日本倫理思想史研究者が協同して遂行にあたり、代表者1名のほか、連携研究者2名、研究協力者8名の計11名が研究に参加する。
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