欧米やアジア各国の教育省や教育研究機関において「シティズンシップの教育」のカリキュラム開発の理論研究が始まり、それを基盤とする実践的な指針の提案が試みられている。今や「シティズンシップの教育」は21世紀の学校教育の中核的な課題になりつつあると言えるだろう。本研究はこうした「シティズンシップの教育」のグローバルな展開を踏まえつつ、シティズンシップの《倫理》を究明することをねらいとした。その際に新機軸に据えたのが、市民の権利・義務や「公民的資質」の議論に終始しがちであった従来の「シティズンシップの教育」の土俵を<仲間の市民およびニーズを抱えている「見知らぬ他者」へのケアと責任>にまで拡充するという作業である。
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