研究概要 |
カントの実践哲学の構想からビジネス倫理の基盤を構築することを目的として、本年度は、以下のことを行った。 1、教科書:ビジネス倫理学自体の知名度が低い点、また、大学の授業で使える教科書がなかった点を鑑みて、リーディングス形式のものをまず世に問うことにした。ここでは、カント倫理学についてもビジネス倫理学の側から紹介されている。2、カント協会での発表:カント研究者に対してビジネス倫理学でのカントの扱われ方を紹介することにより、カント倫理学の現代的意義にかんする新たな視点について多くの専門家と共有することができ、ビジネス倫理学への関心を喚起することができた。3、フィヒテ協会の論文:ビジネスを含む人間関係の中核をなす信頼の理論的基盤となるカントとフィヒテの自我理解を解明することにより、隣人愛を強制せずに他者を尊重する可能性に道が開けた。4、国内学術交流:2007年度基盤研究(A)ドイツ応用倫理学の総合的研究(課題番号19202001)との連携により、ヨーロッパ(特にドイツ)の経営倫理学との交流が可能になった。5、ビジネス倫理の基本図書の翻訳:Norman E. Bowie, Business Ethics:A Kantian Perspective, Oxfbrd 1998。については、20年度発行に向けて準備中。6、ビジネス倫理学術書のデータベース:和書については一部データ化。東北公益文科大学でのURLがとれ次第アップの予定。 その他、実務家との懇談による実践と理論のフィードバックの構築についても進行中で、来年度には形にできる予定である。海外との交流については、教科書と翻訳に時間を要したので、20年度に持ち越した。
|