東アジア各地域・国家間のあつれきは、行為主体の他者に対する感情・思想の問題にほかならない。本研究は、行為主体の他者に対する感情・思想の問題を、ルサンチマン概念を切り口として考究する。その際、ニーチェ思想におけるルサンチマン概念をルサンチマン概念の機軸として位置づけ、東アジア各地域における他者に対する行為主体の感情・思想を考える。各地域を代表する他者に対する行為主体の感情・思想として、日本においては「怨霊信仰」を、朝鮮においては「恨の思想」を、中国においては「報怨以徳の思想」をそれぞれ手がかりとする。また、現代日本が抱える問題についての文明論的診断と、それに基づく具体的提言につなげ、現在進行形で存在する東アジア地域における政治的問題、経済的問題解決への一里塚となることを明らかにすることをめざす。
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