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2007 年度 実績報告書

言語と身体に関する認知現象学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19520032
研究機関中京大学

研究代表者

長滝 祥司  中京大学, 教養部, 教授 (40288436)

キーワード身体 / 間主観性 / 一人称的観点 / 二人称的観点 / 三人称的観点 / 言語 / 感情
研究概要

本年度の主たる研究計画は、(1)「現象学における他者論、間主観性の理論を言語発生という観点から再検討すること」と(2)「言語発生の社会認知的基盤を認知科学的観点から明らかにすること」であった。他者問題を扱った現象学的議論としては、フッサールの「間主観性」や「感情移入」、メルロ=ポンティの「間身体性」といった概念などがあるが、どれも一人称の私秘性を突き崩すには至ってはいないと見なされてきた。そこで本研究では特に、意識の哲学の一人称的観点からの分析と認知科学の三人称的観点からの研究のあいだにあるギャップを意識しつつ検討をおこなった。ここから得られたのは、意識の哲学から身体や他者へと関心を移行させていった展開期の現象学の二人称的観点からの分析を心理学の実験的研究の現場へと組み込むことによって、言語発生やその前段階である感情の発生を科学的に捉えることが可能であるという見通しである。それには、実験研究におけるターミノロジーを現象学的知見を踏まえて再構築する必要がある。以上について、二つの研究発表と共著書において展開してある。次に(2)についてであるが、哲学が他者問題を一種のアポリアとして捉える方向にある一方で、心の理論や社会的認知をめぐる認知科学の最新の実証研究は、心的状態についての三人称的知識がこれまで考えられてきたほど狭くはないということを示唆している。欧文の共著論文は、言語発生の社会認知的基盤について、現象学と発達心理学や霊長類学といった認知科学の知見を踏まえながら検討している。社会認知的基盤を理解するばあい、三人称的観点だけでなく二人称的観点も問題になるが、後者を認知科学の客観的な成果のなかにいかに組み込んでいくかということがもっとも重要な問題になっている。前出の欧文論文をさらに展開してこうした問題に踏み込むことが今後の課題として浮き彫りになった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Phenomenology and the Third Generation of Cognitive Science: Towards a Cognitive Phenomenology of the Body2007

    • 著者名/発表者名
      Shoji Nagataki
    • 雑誌名

      HUMAN STUDIES vol. 30

      ページ: 212-232

    • 査読あり
  • [学会発表] 感情はいかなる意味で身体に還元可能か2007

    • 著者名/発表者名
      長滝 祥司
    • 学会等名
      日本科学哲学会
    • 発表場所
      中央大学多摩キャンパス
    • 年月日
      2007-09-11
  • [学会発表] 感情と身体2007

    • 著者名/発表者名
      長滝 祥司
    • 学会等名
      玉川大学脳科学研究所 脳科学リテラシー部門 第2回研究会
    • 発表場所
      玉川大学
    • 年月日
      2007-08-24
  • [図書] 感情とクオリアの謎2008

    • 著者名/発表者名
      長滝 祥司
    • 総ページ数
      289
    • 出版者
      昭和堂

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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