研究概要 |
(1)トマスの人間論を探求するためには、どうしても共同体の運動を人間論の展望として解明する必要がある。これは、共同体との関係において、個としての人間を位置づけ、個と共同体のあり方を自由と正義の関係から解明する研究である。 (2)いかに優れた研究であるとしても、日本における文献学的な研究が海外で評価される機会はかなり限定的であるように思われる。そこで、拙著『トマス・アクィナスの人間論-個としての人間の超越性-』を全面的に英訳した、Aquinas on the Human Being-The Transcendence of the Human Being as Person-の出版を目指す。 (3)これまでの研究から,次に人間の「幸福」やそのあり方が問題とされる。そこで、人間の幸福が有する「普遍性」を、人間の「個的な超越性」、および、全体としての共同体に由来する「共同善の超越性」という、二つの「超越性」の間に位置づけることは、哲学と経済学だけではなく、そこに神学をも加わった、極めて学際的な研究によって可能になる
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