「永楽三大全」は宋~明初の経学・性理学の成果を集大成した書物であり、その精確な理解抜きに永楽年間以降の中国はもとより東アジア儒教文化圏の学術・思想の正確な把握は不可能であると言える。しかしながら、その重要性に比して、従来の研究の蓄積は極めて不十分な状況にある。そこで、本研究においては、「永楽三大全」中の各「大全」について、それぞれの「大全」が基づいた藍本の問題や引用文献の種類・内容といった根本的な問題について基礎的な考察を行うことを通じて、「永楽三大全」の特質を明らかにすることを第一の目的としている。また、それだけには止まらず、「永楽三大全」に対する基礎的な研究を通じて、明永楽年間以降の中国はもとより東アジア儒教文化圏の学術・思想の特質に関わる諸問題にも随時研究を広げることを目指している。
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