本研究は、人間の倫理・宗教の源泉をインド最古の文献であるヴェーダ聖典に求めその超越性を哲学的に基礎づけようとしたミーマーンサー祭事哲学派の哲学的営為の全体像を、同派最大の学匠クマーリラの『シュローカ・ヴァールティッカ』に対する綱要書『ニーティ・クットヴァーヴィルバーヴァ』と『マーナメーヨーダヤ』に基づき解明しようとするものである。 研究の目的を達成するため、本年度は次の作業を行った。(1)写本前年度までに収集した写本類の整理及び校訂作業を行った。『ニーティ・タットヴァーヴィルバーヴァ』については、2008年にバンガロールで刊行されたK.T. Pandurangi氏による校訂本が入手されたため、これまで利用していた既存刊本(マイソール本)に加え、本校訂本も検討対象に加えることとしたが、校訂の良否を判断する段階には今年度は至らなかった。(2)原典読解前年度に引き続き『マーナメーヨーダヤ』および『ニーティ・タットヴァーヴィルバーヴァ』のテキスト読解作業を行った。(3)関連文献のデータベース作成前年度に引き続きクマーリラの『タントラヴァールッティッカ』のデータベース化作業を行った。 前年度および本年度の読解作業および関連文献データベース作成作業また収集された写本を利用した『マーナメーヨーダヤ』および『ニーティ・タットヴァーヴィルバーヴァ』の校訂と翻訳の作業を次年度も継続の予定である。
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