研究概要 |
平成20年度は,『マハーボーディヴァンサ』のシンハラ語資料のうち,『シーハラ・ボーディヴァンサヤ』1章のデジタルスキャンおよびUnicodeフォントによるローマ字化を行い,HP上に発表している.また2章のデジタル化も進めた.すでに発表した『マハーボーディヴァンサ』中の後期大乗(密教)的な表現については,フライブルク大学のOskar von Hinuber名誉教授等が注目され,また北伝初期仏教資料との関連についての指摘を受けた.これは中世スリランカ仏教の北伝(大乗)仏教との関係という,研究代表者が注目していた点が一部明らかになり,今後の上座仏教文献研究の新しい展開の糸口となるであろうとの確信を得た.研究成果は,5月の韓国ソウルの東国大学校,6月アトランタの国際仏教学会,9月の日本印度学仏教学会(パネル「仏教環境論と現代」),12月スリランカ仏教学会で口頭発表するとともに,国際仏教学大学院大学紀要に,アトランタの国際学会発表原稿を基に,パーリ文校訂資料を付したものを発表した.テキストのデジタル化分はHP上にすでに発表している.その中で,これまで統一のとれていないシンハラ語文献のローマ字化のモデルを作り,その他の中世シンハラ語仏教文献の今後のデジタル化への指針とした.
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