研究課題/領域番号 |
19520060
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
關 一敏 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (50179321)
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研究分担者 |
重信 幸彦 北九州市立大学, 基盤教育センター, 教授 (70254612)
飯嶋 秀治 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (60452728)
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キーワード | 日常性 / ふたつの幸福 / 生きがいと無事 / 都会の民俗 / 時間の重層性 / 世間 / 福岡市 / 周辺 |
研究概要 |
本プロジェクトは「日常性」と「幸福」を両軸とし、地方都市・福岡の生活世界を対象とする。今年度は、(1)2回の全体研究会と数度の研究連絡のほか、(2)数次のフィールド調査をおこなった。うち(1)では、初年度につづいて幸福の諸類型とハビトゥス=そなえの民俗(關)、夜の創出と都市形成史(重信)、海に生きる技法(ゲスト・松村、高桑)、ウソと日常性の構築(ゲスト・掛谷)等の討議をかさね、主としてマチの周辺的な場からマチバの幸福を展望する方途をさぐった。(2)においては、仕事と生活の技法について、芸人と商人の生活世界(關)、マチバの時間構造と生業(重信)、マチの生態維持のしくみ(飯嶋)、中洲の夜の形成史(協力者・有薗)、身障者とそのリハビリ過程(同・内藤)等の聞き書き・資料収集をすすめた。 これをとおして昨年度来の二つの課題に一定の見通しを得た。1)理論的展望においては「幸福」に、調査資料の集積にあっては「日常性」に比重が傾くこと。2)都会における「時間」の重層的複数性。うち1)は調査における幸福・生きがいの析出方法の困難さにかかわるものだが、平穏であること・無事であることの深意は本人のコトバや記憶からは直接よむことができない。むしろ生活世界[虫の目]と、法・行政[鳥の目]と、その間をつなぐ世間(道徳・世評・社会通念をふくむ)が、それぞれ相対的に独立した次元にあり、それぞれの時間の流れをもつことに注目する。幸福や無事の成立要件はこの三者の調和的な配置にある、というのが暫定的な結論である。ここから生まれる着眼点は、a)三者の調和的配置の類型化、b)非調和の事例の集積とその回復方法の探究、c)都会の時間的重層性(初年度課題の2))とこの三次元の時間の流れとの相関性、の三点である。
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