研究概要 |
1.宗教系の学校における宗教教育の実態調査:札幌市及び函館市において、キリスト教系及び仏教系の高校における宗教教育で、情報リテラシーがどのように考慮されているかを教師への面談調査、参与観察を行い、現状を知ることができた。教員の側における意識は高まっているものの、それを中等教育においてどのように実践していくかについて、とくに教材の面で苦慮していることが明らかとなった。 2.宗教系学校をもつ、宗教・宗派におけるウェブ情報に関する基本的方針についての調査:新宗教教団のうち、大本及び多くの学校を有する天理教について本部での面談調査を実施した。キリスト教系、仏教系、神道系の団体については、主にウェブ情報によって、自分たちの宗教・宗派に関する教育への考慮がどうなされているかを分析した。いずれにもおいても、系統だった教団からの学校教育への対応が十分なされていないことが明らかになった。 3.19年度に実施したアンケート調査の分析:19年度には、日本の学生4,306名、また韓国の学生1,385名を対象にアンケート調査を実施したが、20年度にこの結果についての詳細な分析を行い、その一部は論文として成果を発表した。インターネットによって宗教情報に接する割合は日韓とも2〜3%と低いが、日本では霊能者番組での霊の話を信じる割合は15%近くにのぼった。 4.研究会議:平成20年11月2日に研究フォーラム「<宗教情報>とメディアリテラシー」を國學院大學で共催し、本研究代表者・分担者・連携研究者計4名が議論に加わった。平成21年2月7日には日韓国際研究会議「東アジア新宗教研究と情報リテラシー」を國學院大學で共催し、研究代表者、及び連携研究者1名が研究成果発表を行った。これらの会議により、宗教情報リテラシーに関する基本的問題点が示され、また日韓両国がきわめて類似した課題を共有していることが確認された。
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