研究概要 |
20年度の主たる活動内容は、(1)大阪大正区調査、(2)シンポジウム開催、そして(3)沖縄北部調査であった。以下、それぞれの内容について説明する。 1,大阪大正区調査(7月28〜30日) 大阪生駒霊園にて沖縄系墓地の調査をするとともに、大正区内の正等寺、了照寺、呑海寺にて大正区に住む沖縄系住民の死者慣行等についてそれぞれ住職より話をうかがった。また、「関西沖縄文庫」の主宰者・金城馨氏から大正区の会館「アゼリア大正」にて開催された集会「沖縄戦慰霊の日を前にして」について聞き取り調査をおこなった。 2.シンポジウム開催(2月17・18日) 琉球大学教授・赤嶺政信氏ならびに津波高志氏、そして沖縄国際大学講師の具志堅邦子氏を発表者に迎え、「死をめぐる沖縄文化の変容-墓制・祖霊観・家族」と題し、2日間にわたるシンポジウムを開催した。昨年度、沖縄国際大学で開催されたシンポジウムは本土在住の研究者側からみた沖縄死者慣行の変容に関するものであったが、本シンポジウムは沖縄在住研究者からのそれらへの応答の意味があり、「沖縄」の一言で語られがちな沖縄死者慣行の中に見られる多様性を明らかにするものとなった。 3.沖縄北部調査(3月8〜11日) 沖縄の伝統的死者慣行が色濃く残るとされる沖縄県北部の本部町をたずね、浄善寺ならびに桂林寺住職より本部町における死者慣行の在り方について聞き取り調査を行った。さらに、伊江島役場において伊江村が運営する聖苑(葬祭場および火葬場からなる)の設立経緯について資料を入手し、担当者にインタビューをおこなった。
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