今年度は本研究課題の最終年度ということもあり、研究成果を出すことを目標した。とくに、今年度は現在日本の宗教者平和運動に関する資料を収集するとともに、その運動の当事者にインタビュー調査を行いながら、研究成果報告書を作成した。 資料については、東京の宗教情報リサーチセンター(RIRC)にて、宗教者平和運動が取り上げられている新聞・雑誌記事を収集するとともに、平和を実現するキリスト者ネット、日本キリスト教協議会(NCC)、日本宗教者平和協議会、世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会関係者に、それぞれの平和運動に対する取り組みについてインタビューを行った。また、三年間の調査・研究の成果を、「本研究・調査の目的と方法ならびに経緯」「論文『現代日本の宗教者平和運動の展開』」「資料(戦後日本の宗教者平和運動年表、9・11同時多発テロ事件等に関する宗教団体の声明文)」からなる研究成果報告書としてまとめることができた。とくに「戦後日本の宗教者平和運動年表」は初めて公にされる成果である。 この三年間の調査・研究を通じて、戦後日本における宗教者平和運動は日本社会の公共的領域において活動がなされ、一定の公共的役割を果たしてきたことを明らかにした。とりわけ、2001年9月11日のニューヨーク同時多発テロ事件以降の日本社会における宗教者平和運動は、(一般市民の目に映る機会は少ないものの)宗教的に意味づけされた日本国憲法九条を掲げ、さまざまな立場の宗教者や労働者、市民たちとのネットワーク関係にもとづいた機動力を発揮しながら展開されてきたことを示すことができた
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