テクノ・ビューロクラシー/ビューロ・テクノクラシーを通じた社会・文化的再生産過程を批判的に把握することによって、アドルノが論じていた「自然支配」、「同一化批判」といった主題は、「コミュニケーション的行為」(ハーバーマス)、「承認をめぐる闘争」(ホネット)等の問題群へと首尾一貫して連接されるのでなければならない。ここに新しい問題設定の場面が開かれる。 「ヴァイル自伝草稿」の開示、ヘラー教授へのインタヴュー等を通じて明らかにされてきたのはまた、ルカーチの思想史的位置の重要性であり、ルカーチとブロッホの決裂の重大性である。例えばジェイなどに依拠するだけの従来の通念は相当程度、書き変えられなければならないであろう。
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