研究課題/領域番号 |
19520073
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
竹下 政孝 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (30163398)
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研究分担者 |
鎌田 繁 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (70152840)
柳橋 博之 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 准教授 (70220192)
青柳 かおる 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教 (20422496)
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キーワード | 神秘主義 / シーア派 / 法学 / 神学 / イスラーム |
研究概要 |
本研究の目的は、イスラームにおける知を五つの場、つまりマドラサ、タリーカ、カーティブ層、モスク、個人的集団に分類し、これら理念的な五つの知識人再生産の場を、権威的テキストの発生・伝播と重ね合わせることである。このとき近代以前中世イスラーム社会の知識人の再生産においてテキストの役割が、どの程度のものであったか、「書く」「書かれる」「書かない」「書かれない」などの基準に照らしながら、知識人の再生産とはどのようなものであったか、をある程度明確化し、さらに、知識人の再生産における権威的テキストの役割がどのようなものであったかも逆に検討した。 具体的には、研究代表者の竹下政孝は、存在-性論学派のクーナウィーとフェナーニーの存在論、研究分担者の鎌田繁は、シーア派のアッラーマ・ヒッリーとムゥタズィラ学派の思想家の正義論、柳橋博之は、スンナ派法学派のひとつ、ハナフィー法学派の法学者たちによる『イブン・ハナフィー賛』、青柳かおるは、初期のスーフィー、マッキーとマッキーから大きな影響を受けたガザーリー、さらに現代の法学者、カラダーウィーの婚姻論を、それぞれ分析・比較した。 そして、限られた分野および思想家のテキストではあるが、時代的に前後するイスラーム思想家のテキストにおいて、「書く」「書かれる」「書かない」「書かれない」言説はどのようなものだったのかを明らかにした。そして、権威的テキストの継承や、後世の思想家による独自性について考察を深めた。
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