本研究の成果はまず、西洋政治思想史のうちに、「法」の特権的な優越性を守ろうとする立場と、「法の外部」の重要性を強調する立場との対立を見て取ったことにある。そのさい我々は第一に、両方の立場を捉えたヘーゲルの政治思想に着目した。第二にカール・シュミットのいう「政治的なもの」の概念を批判的に受容し、そして援用することで、西洋政治思想史全体を「法」と「その外部」との対立的で補完的な関係として読み解いた。そしてそれを通じて、現代において我々自身が直面する「政治的なもの」を理解し、制御することには固有の困難さがあることを示した。
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