本年度は、昨年度実施した全国の神社に対する社会調査法に基づくアンケートに関して、整理と分析を実施した。神社の神籤に関しては、神社の内部機密に関わることも多く、アンケートの回答の実数も必ずしも多くは得られることはないことも、想定していたが、その想定に反しておよそ1000の神社からの回答ならびに資料の送付を得ることができた。結果、その整理と分析は次年度も続けて行われざるを得ないことになったが、この社会調査法に基づくアンケートという方策は、神社のみならず寺院にも同様に有効な成果が得られると予想されるため、これを今後の研究の展開の計画にも組み入れて生きたい。 また、書籍として、これまでの当該研究の成果を総括すべく『元三大師御籤本の研究-おみくじを読み解く-』(思文閣出版(研究代表者・大野出著))を刊行するとともに(この中で、当該研究の視座を示すとともに研究対象としての「おみくじ」の諸相と概観し、かつ当該研究とその周辺分野の研究史を総括した。また、元三大師御籤本の分節点と類別を指摘するとともに、元三大師本の思想史的展開について論じ、また、元三大師本における倫理的処世訓と現世的願望についても論じた。かつまた最後に元三大使御籤の受容層に関する一つの仮説を提示した。)、論文としては「元三大師御籤本における「道真」という判断項目-そこから見えてくる、おみくじ武家由来の可能性-」(愛知県立大学 説林 第57号(研究代表者・大野出著))及び「占い・おみくじをめぐる学際的研究」(愛知県立大学文学部論集 社会福祉学科編 第57号(研究分担者・松宮朝/研究代表者・大野出 共著))を執筆することにより当該研究の現時点までの成果を総括した。
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