研究概要 |
本年度は、中国山東地方の北斉〜隋時代にかけての如来および菩薩造像の編年作業をおこなった。近年山東地方からは青州龍興寺址をはじめいくつかの窖蔵が発見され、そこから多数の石造像が出土している。しかしそれらについて、とくに北斉〜隋時代にかけての造像については、ほとんど研究がなされておらず、結果としてどの造像が古く、どの造像が新しいかさえ不明な状況にあった。そこで申請者および研究分担者は、それらをまず山東地方の中心的な寺院だった青州龍興寺出土の北斉〜隋時代とされる如来像を三つ、菩薩立像を二つに分類しそれぞれの形式比較から、おおまかな編年を完成させた。そして、その結果を山東地方の他の地域から出土する造像と比較することで、青州龍興寺出土の如来像は、山東地方の他の地域に強い影響力を持ったが、菩薩像の場合は、如来像のように独自性の強い像が造られず、その様式形式は、事実上河北造像の影響下にあったことが明らかとなった。問題の隋初頭時期の造像としては、如来像の場合、Cグループと名付けた、その他のA,B二つのグループの特徴を併せ持つ造像群の一部が、また菩薩立像としては、Yグループとした造像の中、飾り帯に多くの文様を刻む形式を備える像が相当することが理解された。
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