西洋における日本美術史の普及に果たしたガストン・ミジョンの役割に関する本研究の3年目は、非常に実り多いものであった。日本美術や工芸、西洋及び日本の装飾美術に関する最近の資料を入手することで、美術史学、そして博物館学におけるガストン・ミジョンの功績の特色と意義を、歴史的、国際的な視野の下に捉え直し、明らかにすることができた。また二日間のフランス滞在では、フランス国立図書館やルーヴル美術館学芸員図書館、国立ギメ東洋美術館といった様々な研究施設や美術館に所属する研究者、学芸員の協力もあり、ガストン・ミジョン自身に関してのみならず、ルーヴル美術館で最初の日本美術コレクションの歴史、そしてそれらのギメ美術館への移管に関する多くの情報や資料を収集することができた。多くの新聞記事(大部分が未訳)の収集・翻訳により、19世紀後半から両大戦間期までのフランスにおける日本美術の受容の問題を、より深く掘り下げることができた。 そして、2009年7月5日に企画、開催したお茶の水女子大学第11回国際日本学シンポジウム第2セッション(テーマ:日仏交流の中のテキスタイル-技術デザイン、コレクション-)は、日仏の研究者、学芸員らが集う国際的な研究会として、ヨーロッパにおける日本の織物の研究と展示に関してミジョンが果たした先駆的な役割について考察する場となった。参加者、は次の通りである。 企画担当者、司会者:ロール・シュワルツ(お茶の水女子大学准教授) 司会者:秋山光文(お茶の水女子大学教授)徳井淑子(同教授) 発表者:深井晃子(京都服飾文化研究財団チーフ・キュレーター、理事)/オーレリーサミュエル(ギメ美術館学芸員)/高木陽子(文化女子大学教授)」/円谷智子(パリ第1大学博士課程)/廣瀬緑(パリ第7大学 准教授)cf:ロール・シュワルツ=アレナレス「セッションの趣旨」『比較日本学教育研究センター年報第6号』pp47-53
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