研究概要 |
1(山本担当分)明星大学図書館蔵奈良絵本『平家物語』第二〜十一巻のうち,すでに撮影済みの巻第二から巻第四の半ばまでについて,web公開のために全般的な挿絵に関する解説と,各挿絵に対する解説を書き,テスト用サーバーの図版に付した。また一方で,これら軍記絵本の前史となる平安・鎌倉時代の説話絵巻と仏教絵画における,悪人・力士・鬼・仁王・護法武神などの篇肉表現を比較して考察し,その起源を大陸の仏教絵画に求めた論文「平安絵画における筋肉表現の受容と変容一武者絵以前の「瓢箪足に虹躬1描」-」を『明星大学紀要』に発表した。2(柴田担当分)平家物語については,翻字と校訂の作業が巻第九初まで進行し,残巻も引き続き作業中である。案の如く流布本系統の本文であることを確認し,明暦二年絵入り版本との本文異同および該本の文字表記上・言語上の特徴を考察するデータの収集と平行して,簡略な釈文の作成を行い,巻第四まで完了している(テスト用サーバー上では巻第三まで)。また,北野通夜物語については,翻字作業を終え,西源院本太平記とほぼ同文であることが確認しえた。十番切については,すでに釈文の作成を終えていたが,新規撮影写真に基づき改めて確認作業を行った。3(矢吹担当分)平家物語のすべての画像のディジタル化を完了させ,ホームページ上での閲覧に適したサイズに変換し,すべての画像をサーバで閲覧できるようにした。検索のためのすべてのデータベースの構築はまだ終了していないが,画像検索の方針を策定し,データベースの構築が完了した部分については,検索可能とした。検索は,巻からのサムネイル検索,巻から章段を指定してのサムネイル検索,登場する人名地名等からの検索を可能とした。また,本文についての翻刻と漢字かな交じり表記の提示も可能とした(巻第三まで)。
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