20世紀現代美術の中で「メキシコ壁画運動」は特異な地位を占めてきた。その特質は脱西欧中心主義的モダニズム性にあり、背景には独自のモダニティー意識やモダナイゼーションのプロセスを経てきたことが挙げられる。そして21世紀には<オルターナティヴモダニズム>という文脈で非西欧社会の現代美術を再解釈・再評価する動きの中で一人指標となった。当該研究は「メキシコ壁画運動」をオルターナティヴモダニズムの表象としてとらえることの妥当性を検証するものである。 研究計画では年度ごとに異なるフェーズでの調査を実施し、最終年度において検証結果を提示する。 (1)フェーズI:ナショナリズムや土着性といったバノキュラーな歴史、政治、文化伝統との相関関係の調査。 (2)フェーズII:中南米で普遍化されている「革命の美術」という特徴と、美術界における「美術の革命」という認識がどこでどのように交差するものなのかの調査。 (3)フェーズIII:メキシコ壁画運動で提起された問題の普遍性とオルターナティヴモダニズム概念適用の妥当性をモダニティー、モダナイゼーションといった指標から検証。なお研究成果は出版物として公開予定。
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