平成20年度は、昨年度に引き続き、作品調査、文献調査を中心に研究を進めた。 具体的には、19世紀の版画作品のうち、尾形月耕および月岡芳年、歌川広重などの作品を中心に調査を行なった。これは、学位申請論文をまとめた著書『浮世絵版画の19世紀』のための調査という部分もある。特に歌川広重については、これまで注目されてこなかった『スケッチ帖』の存在が、この画家の伝記を変えることになるのではないか、という予想から、周辺作品の作品調査や、描かれた場所などの地理調査も行なった。 歌川広重と『スケッチ帖』の問題については、21年度中に公刊する予定(既に投稿済み)。 また併せて、媒体としての版画という視点から、昨年に引き続き「新聞錦絵」および当該時期の新聞調査なども行なった。これについては21年度も継続する。なお19年度以来、構築している当該時期の新聞など媒体のデータベースは、20年度も継続し、ある程度まとまったデータベースとなってきつつある。これについても21年度において継続する。 さらにこれまでの自身の研究蓄積としてある、作品調査のデータなどをまとめる作業を、平成19年度に引き続き継続して行なった。紙ベースの資料であったものを、PC上でのデータベースとして構築し、またポジフィルムとして保存していた調査写真を整理、デジタル画像化を行なった(21年度も継続予定)。
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