本研究は、19世紀日本における版画、および広い意味での複製芸術制作の実態を、作品に即して検討し、従来、1868年の明治維新を以って分断されていた日本版画史の19世紀像を再構築することを目的としている。具体的には、当時、世界最高の技術を誇っていた木版画(浮世絵版画)に加え、銅版画、石版画、写真までを視野に入れて、作品および関連史料の検討を行うと共に、版画を複製技術という側面からもとらえ、新聞や雑誌といった媒体への進出と求められた用途、普及のありかたを、版画=複製技術が進出した媒体の社会的、歴史的背景からも読み解き、19世紀日本版画の連続性を明らかにするものである。
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