研究概要 |
平成20年度は研究課題遂行にあたり,前年度後半期で取り組んだ「書儀語彙索引(私家版)」の増補作業を継続した。この作業の過程において写本間での異同認定に時間を要し,当初予定の6割程度を完成させることが出来た。同様に「弘法大師空海の書簡(本文と索引)」の作成作業は,書簡語彙(書儀語彙)の認定についての検討に時間を要したため,当初予定の5割程度の作成にとどまっている。しかしながら,校訂本文の作成がひとまずの完成をみているので,引き続き書簡語彙(書儀語彙)の認定と語彙索引作成の作業を継続している。以上が平成20年度前期の成果である。 引き続き,平成20年度後期については,昨年度と今年度前期での作業成果を踏まえた考察と成果報告を中心におこなった。 本研究課題の成果報告と位置付けることができる論文として,書簡表現(書儀表現)の受容史的観点からの考察として「書儀・尺牘の受容-起筆・擱筆表現を中心に-」と題して『萬葉集研究』第30集(塙書房,2009年6月刊行予定)を執筆し,公開する予定である。 また本研究課題の成果報告として,「吉田宜の歌と書簡文-「片紙」に記された思い-」と題して美夫君志会全国大会(於:中京大学)と「萬葉集の書簡表現-贈答の次第を表す表現を中心に-」と題して筑波大学日本語日本文学会大会(於:筑波大学)で口頭発表をおこなった。なお,関連研究課題の成果として「萬葉後期の狩りの歌-家持の「詠白大鷹歌」をめぐって-」と題する論文を,高岡市万葉歴史館編『四季の万葉集』(笠間書院,2009年3月)に掲載した。
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