平成19年度研究期間中の研究成果の概要は以下の通りである。 (1)平成21年度刊行予定『伝承文学全注釈叢書 女訓抄』(三弥井書店)の注釈作業。 『大東急記念文庫善本叢刊』所収の寛永16年古活字版を底本とし、穂国文庫本、寛永19年整版本、大阪女子大学写本との校合のもと、校訂本文を作成。その本文に注釈・補注からなる全注釈形式にて原稿執筆。全10章中、本年度下原稿終了分は第6章まで。 (2)『月庵酔醒記』の輪読会における担当をもとに、服部幸造・美濃部重克・弓削繁 編『中世の文学 月庵酔醒記(上)』(平成19年4月、三弥井書店)の注釈作業に参加し、担当箇所の校訂本文の作成および頭注・補注を執筆した。 (3)(2)に続く『月庵酔醒記(中)』執筆編集に際して、「二条殿、女君にやり給ふ文」をはじめとする中世の女訓に関わる項目、「少人をしへの詞」をはじめとする男性向け教訓の項目等の校訂本文作成および頭注・補注を執筆した。 (4)斎宮歴史博物館で開催された「特別展ヒーロー伝題-描き継がれる義経-」の企画に協力し、同館所蔵『源平盛衰記画巻』を翻刻・紹介するとともに、軍記物語に登場する女性像が、その後の女性教育においていかに位置付けられ利用されたかを、日本の近代化の歩みと表象の面から捉え、その考察を「明治期の<常盤>と<静>」として図録に寄稿した。 (5)韓国東国大学、木浦大学の研修生向けに実施されたセミナーにおいて、日本近代の女性教育についての講義を担当した。
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