代表者がこれまでに発表した萬葉集の訓字に関する研究を整理し、どれだけが既に終わっているかをまず確認した。それらの中には、古辞書をテーマとしているために、萬葉集に関して資料を再整理する必要があり、まずそれを行った。萬葉集に関しても既に論文として発表しているものが多くあるが、それらを萬葉集のテキストへ一元化する作業は、行っていなかったので、それに着手し、その半ばを終えた。 そのなかで、諸本に残る訓についての調査に十分でない例が、特に論文の古いものの中に見られた。それは、主として、萬葉集の古写本に関する資料を校本萬葉集に依存するという旧来の方法であったことに起因する。それを画像を資料とするものに作り替える必要があるが、そのためには古写本の画像資料を作成しなければならず、それにかなりの時間を要したが、主な次点本についは果たすことが出来た。更に、平安時代の古本の訓み方についての注意が十分でなかったことを反省し、それらが今後のデータに加えられるように、分析方法を増補した。その研究には、予想以上の時間を要し、そのため、全体の具体的なデータソフトの設計が遅れ、それにかかる具体的に謝金を使っての作業が次年度送りとなったが、上記の課題についての確実な見通しが得られた。それがなによりの成果である。 次に、そうした古本に存する文字を入力すべく、ワープロソフトを組み替えて、ほぼすべての文字が入力できるようになった。これで、次年度からの具体的な作業の綿密な計画を立てることが出来る。
|