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2008 年度 実績報告書

日本近代文学館所蔵芥川龍之介文庫和漢書の書き込みに関する文献学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19520151
研究機関京都大学

研究代表者

須田 千里  京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 准教授 (60216471)

キーワード芥川龍之介 / 和漢書 / 日本近代文学館 / 書き込み / 文献学 / 『芭蕉全集』 / 「忠義」
研究概要

日本近代文学館所蔵の芥川龍之介文庫和漢書(四六五点)のうち、本年度は『樊川詩集』から里見〓『慾』まで一五九点の書き込み調査を行った。今年度も、芥川の書き込みの翻刻と、頁を折った個所の記録を行なった。書き込みが見られる書物は『樊川詩集』『芭蕉全集』(沼波瓊音編、大正一〇年発行)等で、特に後者では944頁「芭蕉は恐しき老爺なり」(「はくらん病が買候半と申き」に対して)、953頁「師弟の情殆涙を催さしむ」(「一両年早き句」に)、960頁「芭蕉程よき教育家は稀なるべし」(「三十棒」に)など、芥川の芭蕉観が窺われる書き込みが見られた。また『春服』(大正十二年)のように芥川自身が訂正を加えた本もある。『模範名家増補俳句大成』(沼波瓊音編、大正五年再版)や『春城句集』(室賀文武著、大正十年』)のように俳句の頭に/・〓・○・×印をつける例は、書き込みではないものの芥川の鑑識眼を窺わせて興味深い。なお、「旧幕府御定書」と墨書された仮綴の本は、叢書『百万塔』を合綴したものであり、中に収録された「近代公実厳秘録」は「忠義」(大正六年三月「黒潮」)の典拠である。従来、芥川がこの書を所持していたことはわかっておらず、重要な発見であった。その他、頁を折ったものも非常に多いが、その中には『近代劇全集』第35巻南欧篇(昭和三年四月発行)のように芥川没後の文献があり、芥川の家族などが行ったものと推測されるため、注意を要する。また、江戸から明治初期発行の和書には、芥川ではない墨書書き込みがあり、恐らく芥川家で購入した古本を芥川が受け継いだものと想像される。

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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