1.田歌関係資料の収集と整理 前年度に引き続き、今年度は古代から中世期まで下って、田歌関係の歌謡資料を収集、分類整理を進めた。 2.三重県伊勢地方における神宮文庫所蔵資料及び伊勢神宮関係農耕神事の実地調査 三次にわたって伊勢市を訪れ、神宮文庫における資料収集と神宮御神田神事の実地調査を実施した。神宮文庫では神宮御神田歌及び、御神田神事関連の資料の補充調査を実施した。御神田神事は、前年度未調査の「下種祭」(4月)、「抜穂祭」(9月)を実地調査、映像、音声資料を作成した。 3.九州・東海地方に伝存する田打ちに関わる御田・田遊び神事の調査研究 熊本県阿蘇市阿蘇神社の「御田植祭」(7月)、佐賀県鳥栖市老松神社の「御田舞」(11月)、静岡県浜松市の「懐山のオクナイ」(1月)、同「川名のヒヨンドリ」(1月)、静岡県藤枝市の「滝沢の田遊び」(2月)の実地調査を実施、映像、音声資料を作成するとともに文献資料多数を収集した。 (総括)以上の調査研究によって、古代の稲作儀礼における春の耕田儀礼(田打ち儀礼)と田打ち歌の先行・優勢という事実を文献資料と民俗資料の両面から裏付けることができた。その成果の一部は、別掲のごとく2008年度国際アジア民俗学会大会のシンポジウムにおいて口頭発表した。
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