沖縄の伝統的な表現として親しまれてきた琉歌が、ハワイでも詠まれているということは、沖縄県人がハワイに数多く移住した歴史を知るものにとって、そう驚くほどのことではないのかも知れない。しかし、琉歌結社「ハワイ琉歌会」を立ち上げ、毎月定例会を持ち、ハワイで刊行されている邦字新聞の学芸欄に毎月その詠章集を掲載しているということになると、驚きを禁じえないはずである。何が、彼等を、異国で、そのような沖縄語による表現にかりたてているのだろうか。そのことを究明するために、作品の収集から始めた。 「ハワイ琉歌会」の詠草集が「ハワイ報知」の学芸欄に掲載されるようになるのは一九八○年二月からである。一月には、「第一回月例会盛会」の記事が現われ、帰米二世を中心に「ハワイ琉歌会」が結成されたことを報じるとともに、「沖縄正月」の題詠が出され、二月の詠草集になっていく。 「ハワイ琉歌会」の作品は「ハワイ報知」紙にだけ見られるのではない。「ハワイと沖縄の架け橋」を謳って一九七九年に創刊された「ハワイ・パシフィック・プレス」にも掲載されるようになる。 平成19年度は、「ハワイ報知」「ハワイ・パシフィック・プレス」両紙に掲載された「ハワイ琉歌会」の作品を収集した。平成20年度は、収集した作品の「集成」を刊行するとともに、「ハワイ琉歌」の概観、特質について論及して行くことになる。
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