ハワイへ移住した沖縄県人は数多くの琉歌を残している。ハワイには「ハワイ琉歌会」「本流ハワイ琉歌会」の二つの琉歌会がある。ハワイ琉歌会はこれまでに『琉歌集-ハワイ琉歌会創立一周年記念』(1981年9月)、『ハワイ琉歌会同人集-創立満5周年記念誌』(1985年7月)、『微風-ハワイ琉歌会創立10周年記念誌』(1990年)、『アロハ-ハワイ琉歌会創立13周年記念誌』(1993年)、『貫花-ハワイ琉歌会創立20周年記念誌』(1999年)、『梯梧-ハワイ琉歌会25周年記念誌』(2005年)の6冊の琉歌集を刊行している。だが、同会の活動はそれだけではなく、『ハワイ報知』『日布時事』『ハワイ・パシフィック・プレス』といった邦字新聞にも数多く作品を掲載している。これらの邦字新聞に掲載された琉歌を収集・整理することによって、ハワイに移住した沖縄県人が、ハワイでどのような思いをして暮らしていたのか、琉歌という沖縄の伝統的な定型歌に託したものは何だったのかを明らかにすることができるだろう。 本年度は昨年度に続き、ハワイ大学マノア本校ハミルトン図書館に収蔵されている『ハワイ報知』『ハワイ・パシフィック・プレス』の再調査を行うとともに、収集した琉歌のデータベース化を行った。その結果、『ハワイ報知』は1980年〜2006年に8287首、『ハワイ・パシフィック・プレス』は1977年〜2004年までに7638首の琉歌が掲載されていたことがわかった。データベース化によって、歌人ごとの歌の検索や使用されている語句の検索が可能となった。『ハワイ・パシフィック・プレス』には琉歌会で発表された歌以外に、個人で投稿した作品も数多く見られる。個人で発表された琉歌と、ハワイ琉歌会、本流ハワイ琉歌会の二つの琉歌会で発表された琉歌を比較検討することにより、ハワイ琉歌会の果たした役割を知ることができるだろう。また、昨年度に続いて、ハワイ琉歌会会長をはじめ琉歌会会員に会い、琉歌会の活動状況や、琉歌に託した思い、ハワイでの生活のことなどの聞き取り調査を行った。
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