平成17年度から18年度にかけて行った調査(科学研究費補助金基盤研究(C)「出版メディアによる〈大衆〉の獲得-1920年代の改造社の戦略と文学・映像・アジア」課題番号17520125)及び平成19年度の成果を踏まえ、各地での調査と資料の収集を行った。 2年度目の活動は、日本近代文学会の秋季大会にてパネル発表を行うことを目指して全体の予定が立てられた。勉強会は第1回を5月28日に、以後7月2日、9月5日、同16日、10月10日、11月19日12月18日、平成21年2月16日の計8回行われた。特に所謂「外地」での古本屋の動向に詳しい沖田信悦氏をお招きした9月16日、出版関係の流通問題に詳しい戸家誠氏をお招きした12月18日の2つの勉強会は、慶応義塾大学の研究グループとの合同研究会として開催し多くの聴衆の参加を得、両研究グループにとって大変に有益な会となった。また、調査活動については、メンバーが所属する昭和女子大学の図書館にて行い(8月21日〜22日)、9月には宮城県図書館、郡山市こおりやま文学の森資料館での調査を進めた。改造社の宣伝活動に深く関わった久米正雄の映像資料を所蔵する郡山市こおりやま文学の森資料館では、11月22日〜23日と12月14日に特に映像資料に関する調査を行い、館の協力を得ることができたこともあり、相応の成果をあげた。 なお、10月26日に東北大学で開催された日本近代文学会2008年度秋季大会でのパネル発表は、掛野剛史を司会に、庄司達也、山岸郁子、杉山欣也が「〈全集〉出版と読者-改造社を中心に-」の総題のもとに報告を行った。この時の報告が、学会機関誌『日本近代文学』第80集(平成21年5月発行予定)に掲載されることとなった。
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