研究概要 |
本研究は合巻について、文学研究でも絵画研究でも看過されてきた合巻における浮世絵師の業績に着目し、絵と文双方から見た総合的な徳川合巻史の再構築を目指している。合巻挿絵の第一人者歌川国貞について、海外の資料に目を配りつつ、国内主要図書館資料の位置づけを行い、彼の業績が文化に与えた影響の一端を明らかにする。 20年度の成果は以下の通り。 1.関東地区主要図書館を中心に合巻の書誌調査を、また周辺資料について、スイス・チューリッヒ(個人蔵資料)、フランス・パリ(装飾美術館)における資料調査を行った。 2.資料収集(マイクロ複写)を予算の範囲で行った。 3.研究発表「草双紙研究の一方法」(慶應義塾大学国文学研究会、7月5目) 4.研究発表「草双紙における絵と文の役割」(奈良絵本・絵巻国際会議、9月25日、於アルザス・欧州日本学研究所) 5.パネル展示「疱瘡絵本研究-『雛鶴笹湯寿』と『桃太郎手柄話』をめぐって」(慶應義塾大学日吉キャンパス研究活動報告会、11月14・15日) 6.講演「江戸の源氏物語-光君の記憶」(公開講座、11月15日、於慶應義塾大学) 7.講演「浮世絵と草双紙」(12月4日、フランス国立東洋言語文化研究所) 8.論文「The Daimyo as Kabuki Fan and Kyoka Poet-Surimono Commissioned by Edo no Hananari」(John Carpente編『Reading Surimono:The Interplay of Text and Image in Japanese Prints』,12月、Hotei Pub) 9.合巻『塵塚物語』の絵と文の注釈(継続中)
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