• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2009 年度 研究成果報告書

上代文学における墓の表現性についての基礎的研究

研究課題

  • PDF
研究課題/領域番号 19520177
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 日本文学
研究機関甲南大学

研究代表者

廣川 晶輝  甲南大学, 文学部, 教授 (40312326)

研究期間 (年度) 2007 – 2009
キーワード菟原娘子伝説 / 万葉集 / 高橋虫麻呂 / 田辺福麻呂 / 大伴家持
研究概要

本研究は、日本文学史において、○『万葉集』(高橋虫麻呂歌・田辺福麻呂歌・大伴家持歌の3作品)、○『大和物語』第147段「生田川」、○観阿弥作謡曲「求塚」、○森鴎外作戯曲「生田川」、というように上代から近代にかけて長く作品化された「菟原娘子伝説」の初発の位置にある『万葉集』の作品の表現を分析し、「墓」が作品の中の<場所>として選ばれていることの意義を追究している。その結果、
(1)「墓」という<場所>には死者への「偲ひ」の時間が堆積していること。
(2)墓の中に眠る人物と第三者の関係にある「作品の中の我れ」も、この堆積に立ち会うことで「偲ひ」に参加できるようになる機制があること、つまり、「墓」という<場所>が、「偲ひ」の回路を開き得ているということ。
(3)「墓」とは、肉親(やそれに準じる親しい人物)を偲ぶ「よすが」となるものだが、第三者に対しての顕示・アピールの機能をも含み持つということ。
などを明らかにした。
この研究成果を、2008年5月、新典社(東京都千代田区神田神保町)より、『死してなお求める恋心-「菟原娘子伝説」をめぐって-』と題して刊行した。この著書は、新書である分、一般社会人や生涯教育を志す人々など多くの国民に解りやすい表現にすることに努めた。この点、科学研究費補助金交付の成果の、国民への開示・説明のはたらきを、十分に果たし得ているものである。
また、この研究成果を、平成21(2009)年4月、「墓を歌うということ」と題して、『国文学解釈と教材の研究』(学燈社)54巻6号(4月臨時増刊号)誌上において公表した。この公表した媒体は高等学校教諭が教材研究のために使用する学術誌であり、また、大学生や生涯教育を志す一般読者が教養を深めるために読む学術誌である。このような媒体に研究成果を公表できたことも、科学研究費補助金交付の成果の、国民への開示・説明のはたらきを、十分に果たし得ているものである。

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2010 2009 2008 2007

すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (5件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] ふたりの壮士-高橋虫麻呂「菟原娘子伝説歌」をめぐって-2010

    • 著者名/発表者名
      廣川晶輝
    • 雑誌名

      日本文学 59巻6号

      ページ: 8

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 哀世間難住歌」について-序文と長歌との関連を中心に-2010

    • 著者名/発表者名
      廣川晶輝、山上憶良
    • 雑誌名

      甲南大學紀要文学編 160号

      ページ: 7-14

  • [雑誌論文] 歌詞両首」について2009

    • 著者名/発表者名
      廣川晶輝、大伴旅人
    • 雑誌名

      国語国文研究(北海道大学国語国文学会 136号

      ページ: 26-42

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 大伴家持防人同情長歌作品について2009

    • 著者名/発表者名
      廣川晶輝
    • 雑誌名

      美夫君志会編『万葉集の今を考える』(新典社)

      ページ: 299-312

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 墓を歌うということ2009

    • 著者名/発表者名
      廣川晶輝
    • 雑誌名

      国文学解釈と教材の研究(学燈社) 54巻6号(4月臨時増刊号)

      ページ: 139-145

  • [雑誌論文] 「思子等歌」の「瓜食めば子ども思ほゆ栗食めばまして偲はゆ」について2009

    • 著者名/発表者名
      廣川晶輝、山上憶良
    • 雑誌名

      甲南大學紀要文学編日本語日本文学特集 158号

      ページ: 1-10

  • [雑誌論文] 「令反或情歌」の「畏俗先生」について2008

    • 著者名/発表者名
      廣川晶輝、山上憶良
    • 雑誌名

      甲南大學紀要文学編日本語日本文学特集 153号

      ページ: 1-10

  • [雑誌論文] 令反或情歌」について2007

    • 著者名/発表者名
      廣川晶輝、山上憶良
    • 雑誌名

      美夫君志(美夫君志会) 75号

      ページ: 47-61

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 書記テクストとしての磐姫皇后歌群2007

    • 著者名/発表者名
      廣川晶輝
    • 雑誌名

      上代文学会研究叢書『初期万葉論』(笠間書院)

      ページ: 89-143

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 鑑賞明日香関係歌2007

    • 著者名/発表者名
      廣川晶輝
    • 雑誌名

      明日香風(飛鳥保存財団) 102号

      ページ: 16-21

    • 査読あり
  • [学会発表] 「哀世間難住歌」について2010

    • 著者名/発表者名
      廣川晶輝、山上憶良
    • 学会等名
      美夫君志会(平成22年度5月例会)
    • 発表場所
      中京大学
    • 年月日
      2010-05-09
  • [学会発表] 「取りつつき」考-高橋虫麻呂「菟原娘子伝説歌」を中心に-2010

    • 著者名/発表者名
      廣川晶輝
    • 学会等名
      第43回万葉文化学研究会
    • 発表場所
      坂出市万葉会館
    • 年月日
      2010-02-27
  • [学会発表] 大伴家持防人同情歌群について2009

    • 著者名/発表者名
      廣川晶輝
    • 学会等名
      美夫君志会特別例会「家持作品の〈時空間〉をさぐる」
    • 発表場所
      中京大学
    • 年月日
      2009-03-08
  • [学会発表] 「思子等歌」について2008

    • 著者名/発表者名
      廣川晶輝、山上憶良
    • 学会等名
      萬葉学会(第61回全国大会)
    • 発表場所
      皇學館大学
    • 年月日
      2008-10-19
  • [学会発表] 令反或情歌」について2007

    • 著者名/発表者名
      廣川晶輝
    • 学会等名
      美夫君志会美夫君志万葉ゼミナール「山上憶良の諸問題」
    • 発表場所
      かう楽
    • 年月日
      2007-09-08
  • [図書] 死してなお求める恋心-「菟原娘子伝説」をめぐって-2008

    • 著者名/発表者名
      廣川晶輝
    • 総ページ数
      160
    • 出版者
      新典社
  • [図書] 南大阪の万葉学(文部科学省現代的教育ニーズ取組支援プログラム「地域学による地域活性化と高度人材養成」, 80(およびCD-ROM1枚))2007

    • 著者名/発表者名
      村田右富実、廣川晶輝
    • 総ページ数
      80
    • 出版者
      大阪府立大学・大阪公立大学共同出版会

URL: 

公開日: 2011-06-18   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi