研究課題
平成21年度は、鹿児島県のトカラ列島と沖縄県の久米島で文化叙事伝説に関する実地調査・文献調査を行った。調査は、第1回平成21年8月16-29日鹿児島県十島村の諏訪之瀬島・口之島・平島・中之島(トカラ列島)、第2回平成21年9月10-15日沖縄県久米島町の久米島の計2回行った(総計20日間)。トカラ列島の諏訪才瀬島では、文化10年(1813)の御岳噴火後無人となっていた諏訪之瀬島に、奄美大島から明治期に移住した藤井富伝らの移住伝説などを中心に調査を行った。文化的には奄美文化の影響が強く残存していることが確認された。口之島では、平家伝説(肥後・日高家が子孫とされる。タモトユリは平家落人がもたらした。清塚伝承、石礫伝承等)、慶元伝説(殺害後祀られたという。墓は慶元様と称される)などを中心に調査を行った。平島では、平家伝説(日高家が子孫とされる。平家の穴や出瀬は見張場)、七島正月由来伝説(琉球征伐が起源とされる)などを中心に調査を行った。中之島では、平家伝説(平島より渡来したという説がある。日高家を核とする「二十八戸数」が子孫。小城・大城は平家の城跡)、与助岩伝説(海賊与助を祀る岩。与助踊りがあった。ブト起源伝説がある)などを中心に調査を行った。沖縄諸島の久米島では、平成21年度奄美沖縄民間文芸学会久米島大会および委員会に参加するとともに、ノロ伝説(宇根)、伊敷索城の按司伝説(兼城)、具志川城の按司伝説(具志川)、登那覇城の按司伝説(比嘉)、堂の比屋の伝説(宇江城)、羽衣伝説(山城)、鬼伝説(山城)などの調査を実施した。さらに、十島村歴史民俗資料館・鹿児島県立図書館・久米島自然文化センター・沖縄県立図書館など各地図書館・資料館で関連資料を調査研究した。本研究課題に関する論文は複数発表・投稿中。
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新見公立短期大学紀要 30
ページ: 181-195
奄美冲縄民間文芸学 9
ページ: 37-54
『社寺縁起伝説辞典』,「吉備寺」「五流尊瀧院」「西大寺」「湯川寺」「三尾寺」(戎光祥出版)
ページ: 148,204,212-213,353-354,448(全566)