本研究の目標は、南西諸島各地に伝承されてきた文化叙事伝説を、南西諸島各地で直接聞き取り調査して記録するとともに総合的に比較研究し、民間伝承の世界における文化叙事伝説の特徴や意味を明らかにすることにある。そのために、平成19年度から平成22年度にかけて、大隅諸島・トカラ列島・奄美諸島・沖縄諸島・宮古諸島・八重山諸島それぞれに伝承されている文化叙事伝説をゆかりの地に行き直接聞き取り調査する。同時に、関連文献の調査も行う。 本研究では特に、大和・琉球両文化の接触点である大隅諸島・トカラ列島の有人島全島(大隅諸島6島・トカラ列島7島)の網羅的な実地調査を行う。調査を行うことにより、大和・琉球両文化の接触点の島々で両文化がどのように変容して伝承されているかが明らかとなる。また、各地域の文化叙事伝説は、それぞれ独自の個性を持つとともに、それぞれ魅力的な伝説が多数伝承されている。それらの伝説の意味についても、一つ一つていねいに考察を加えてゆく必要がある。伝説が消滅してしまう前に、貴重な伝説をできるだけ多く調査研究し、記録することを目指す。 (1)平成19年度の計画 平成19年度は、大隅諸島と八重山諸島の文化叙事伝説に関する実地調査を行う。大隅諸島では、有人島6島中3島(種子島・屋久島・口永良部島)を調査対象地とする。 (2)平成20年度の計画 平成20年度は、大隅諸島と奄美諸島の文化叙事伝説に関する実地調査を行う。大隅諸島では、有人島6島中残りの3島(竹島・硫黄島・黒島)を調査対象地とする。 (3)平成21年度の計画 平成21年度は、トカラ列島と沖縄諸島の文化叙事伝説に関する実地調査を行う。トカラ列島では、有人島7島中4島(口之島・中之島・諏訪之瀬島・平島)を調査対象地とする。 (4)平成22年度の計画 平成22年度は、トカラ列島と宮古諸島の文化叙事伝説に関する実地調査を行う。トカラ列島では、有人島7島中残りの3島(悪石島・小宝島・宝島)を調査対象地とする。
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