研究概要 |
19年度は、研究分担者間で生命地域主義の思想と実践について共通理解を得るために、定期的に読書会と報告会を行なった。また、それと平行して、研究分担者がそれぞれの課題について研究を行った。星野は、生命地域主義が北米アメリカという特定の地域とどのように関わるかについて、植民地時代から19世紀に至るまでの特定の期間に記された史書や日記や旅行記という広義の文学や詩や小説の作品を対象として、そこに認められる特徴について概括的に調べた。齋藤は、エコクリティシズムの可能性と限界を考察するために、Frantz Fanonをはじめとするポストコロニアリズムと比較しながら検討した。開は、玉野井芳郎等によって主導された日本の地域主義思想との親近性に留意しつつ,生命地域主義についてアメリカのP.Berg等の文献資料の分析を行った。そのうえで,生命地域主義の基本概念として場所(place),再定住(reinhabitation),生命地域(bioregion),ホーム(home),共同体(community)を特定し,ディープ・エコロジーとのリンクを念頭に置きながら,考察を進めた。秋田は、米国ニューヨーク州のニューヨーク市立図書館で19世紀米国の女性家政学者たちの文献を収集し、それを基にして彼女たちが考えるホーム(home)の概念が、そこを中心とする空気や上下水道の質の向上への取り組みという環境実践にいかに結び付いていたのかということを考察した。
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