The Ladies' Home Journalは女性文化やアメリカ文化の領域においてその意義の大きさを既存の事実として論じられるものの、それを体系的に、特に小説作品の研究に限定した研究は内外にない。本年度は、創刊号から第二代目の編集長に就任したEdward Bokの時代の作品に注目して、小説作品を考察した。その結果の一部を、2007年10月13日で「19世紀末から20世紀初頭にかけてのThe Ladies' Home Journalにおける小説作品研究の可能性」として広島経済大学で口頭発表した。同発表は小説作品の内容や分析をすることに重点をおくというよりも、雑誌が研究対象となってこなかったことを踏まえ、先行研究を紹介し、また、これからの研究としての可能性を示唆する導入的なものとなった。同題名の論文が、今、印刷にまわっているところである。 Bokは雑誌が内包するすべての言説を詳細にチェックを行ったことで有名である。小説作品といえども、彼の個人的な思想や趣向を反映しないものはなかった。小説を分析するにあたり、彼の思想をエディトリアルなどのコラムやエッセイから読み取ろうとした。その結果、彼の思想の根底にはアメリカを良い国にしようとする「愛国精神」があることに気づいた。小説作品を含めて雑誌を通底するBokの愛国精神を考察するために、2008年3月5日から25日まで米国に行った。米国視察中の最初の1週間は、同雑誌の出版社が置かれたPhiladelphia(PA)に滞在し、The Curtis Publishing Companyや、編集者のSarah J. HaleがGodey's Magazineを印刷していた家を訪問した。Philadelphiaという立地と雑誌文化が深い関係にあることが分かり大きな収穫を得た。後半はNYの市立図書館に行き、雑誌における料理のレシピの言説を考察するための資料を収集した。
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