本研究の目的は、従来等閑視されがちなMaria Edgeworth、Sydney Owenson、Jane Porter、Anna Porter、Jane Westなどのロマン主義時代の女性作家たちの作品を、時にCharles Robert Maturinなどの同時代の男性作家の作品と比較検討しながら、仔細に分析し、歴史小説という新たなサブジャンル構築に女性作家たちが多大なる寄与・貢献をおこなったことを検証することである。さらには、その検証の過程で、女性作家たちが構築し発展させた歴史小説が、ScottのWaverley(1814)を始めとする、いわゆるウェイヴァリー小説に、小説のプロット、枠組み、テーマ、素材、手法などを提供したことを跡付ける。 平成21年度は、本研究に密接にかかわると思われるJane Porter、Jane West、Christian Johnstone、Theodore Melvilleなどの作品を大英図書館、ケンブリッジ大学図書館等からフォトー・コピーの形で取り寄せた。また文献のさらなる充実をはかるために、同大学図書館に資料収集にも出かけた。収集した資料・文献は、精読し、仔細に分析した。21年度は、その成果の一部を、「ロマン主義時代の歴史小説と『北と南』」という題で、日本ギャスケル協会第21回大会のシンポジウム(2009年10月4日、日本大学)で発表した。
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