本年度は研究開始の段階であるので、今後の研究に必要な予約購読出版に関わったスコットランド女性詩人、出版者、そして文芸サークルに関する基本文献の調査・収集を、年間を通じて実施し、あわせて若手研究(B)からの発展的な研究として、スコットランドの女性劇作家・詩人ジョアンナ・ベイリーとその読者層についての研究を深めた。 まず資料収集については、知己を得たスコットランド哲学思想研究者の助言のおかげで、信頼しうるスコットランド人研究者による文献を多数入手でき、本研究に有意義な箇所を求めて研究した。また海外における最新の研究資料を求めたため、いまだに数点が昨年度刊行されなかったために未入手である。20年度には入手できるので入手しだい研究する。 次にジョアンナ・ベイリーの作品と文芸サークルの研究については、10月から2月にかけて、上記の新たに入手した資料を参照しながら読者層データの整理を行なって、研究を深めた。そして最終的には、2006年度に他の研究者に呼びかけて実施した学会シンポジアム(於鳥取大学、イギリス・ロマン派学会全国大会)ので発表原稿を、大幅に加筆修正して、2008年4月に『読者の台頭と文学者』(世界思想社刊)として、発表することができた。本年度研究計画に挙げていた学会発表を実現することはできなかったが、この著書がその代替となるものと考える。
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