研究概要 |
私はすでに博士学位論文において、(1)ictusという共通の単位によって「歌われた部分」も「それ以外の部分」も同様の方法によって量的に計測出来ること、(2)またそれぞれ24ictus,32ictus,36ictusという長さを持つ3種類のmoduleを想定することで演劇テキストの諸部分と諸部分の関係、すなわち量的な構造の全体と詳細が明らかになる場合があることを示した。こうした法則性の有無について古代ギリシア韻文作品全体を射程に入れながら、先ずはアリストパネースのその他の作品の構造について検討を行った。即ち、2007年の5月から6月は、アリストパネース『雲』の分析、7月から8月は、アリストパネース『蜂』の分析9月から10月は、アリストパネース『騎士』の分析、11月かち12月はアリストパネース『平和』の分析1月から2月:アリストパネース『リュシストラテー』の分析、12月〜2月は、上記の研究を何らかの発表にまとめる準備を行い、2月から3月にかけて、上記研究の成果に基づき,古写本・初期印刷本のコピー等を求める資料収集旅行を行い、フランス国立リモージュ大学の研究者と学生の前で発表・意見交換を行った。アリストパネースの2作品において確認されたこの法則性は、アリストパネースのその他の作品の構造においてもある程度確認されたが、演劇テキスト以外の古代ギリシア韻文作品の構造においても確認されるかもしれないという可能性を確認するまでは至っていない。
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