本年度は研究の締め括りとして、総括を行い、その成果を、国外、国内の学会等で口頭発表するとともに全員で活字化することによって、一冊の書物にまとめて出版するという当初からの目標に向かって前進した。 堀恵子は、昨年度、UCLA図書館等で収集した資料の分析をさらに進め、HBO版『セックス・アンド・ザ・シティ』に見られるさまざまな依存についての研究を深めるとともに、4人の主人公の一人であるミランダの恋愛関係に焦点を絞った「『セックス・アンド・ザ・シティ』に見る愛のかたち-ミランダとスティーブの場合-」を執筆し、英宝社出版の『英米文学の可能性-玉井〓教授退職記念論文集-』において発表した。 森岡裕一は、アメリカにおけるフィールドワークで禁酒小説を多数収集することができ、目下、それらの分析を鋭意行っている。同時に、禁酒運動に関心の深かったハリエット・ストウの『アンクル・トム』に禁酒小説のモチーフを探る研究も進め、本年度はその成果を11.研究発表にあげたように二本の論文にまとめ発表した。また、それを土台にして19世紀アメリカ精神史を見直す講義を勤務先で実践している。 田口哲也は、カリフォルニア州立大学ロサンジェルス校における調査をもとに、文学と薬物依存に関する理論構築を試み、その理論的成果の一部を二つの学会発表、二本の論文に纏めた。また薬理学を援用した薬物依存研究を行い、現在、薬物依存に関する事例を集めたデータベースの構築を行っている。
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