1.M.エーガー『ニーチェのバイロイト受難劇』の翻訳出版について 原書で600頁に及ぶエーガー博士(バイロイト・ワーグナー博物館前館長)の著書を翻訳中だが、2008年3月にバイロイトで数日間にわたり、同氏から難解な内容、文章の読解にかんする疑問点について詳しく説明を受けることができて、2008年度中に完成できるめどが立った。本書は日本のみならずドイツ本国においても偶像化した既成のニーチェ像を破壊するとともに、新たなニーチェ像を打ち立てるものであり、同書の日本語版出版は、本研究の遂行のために必須の要件である。合わせて、出版社の提案、依頼により、同書の日本語版のための序文を特別に寄稿してもらえる旨、エーガー博士より了解を得た。この序文も近日中に入手できる予定である。 2.バッハオーフェン、ブルクハルト、ニーチェを中心とする「バーゼル・サークル」の実態解明について 2008年3月にバーゼル大学附属図書館の古文書担当のドミニク・フンガー氏より、この問題解明のための貴重な文献、示唆を得ることができた。とくにニーチェとバッハオーフェンの関係については、従来ほとんど解明されておらず、この問題が解明できれば、とりわけニーチェの『悲劇の誕生』の内容について、既成の観点とは異なる、新たな視点が提起できるはずである。この問題については、2008年度中に論文によって公表する予定である。
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